僕はぱっちり目を開けて黒埼を見上げた。

「ゆきちゃん!」


黒埼はバカっぽい笑顔で嬉しそうに叫んだ。


「カケル」


昔のようにそう呼ぶと、黒埼は驚いたように目を見開いた。


「何?ゆきちゃん寝ぼけてんの。」


「バカもんっ、僕の頭はいつでも澄みきってる‼」

「あれ、いつもと同じ。…つまり」


黒埼はいきなりニマニマと笑いだした。


「素でカケル♡って呼んじゃった、みたいな?」


「…誰がハートマークをつけた。」