「あーあ、またやってる。黒埼もよくやるよ。」


「ムキになってむかってくるのが面白いんだろね。」


「委員長もほっときゃいいのに。」


クラスメートからちらほら聞こえる会話に僕は頬が赤くなるのを感じた。


「あれっ、あれあれ?ゆきちゃん、顔が赤いよぉ、かっわいい~」


「黙れっ、このアホウが‼」


「あっ、分かった。その今読んでた本にチュ~のシーンとかあったんでしょっ。ゆきちゃんのえっちぃ」


「はっ?うわっ、っっ返せ‼」


黒埼はわけのわからない言いがかりを僕にかけてきたと思ったら、僕の手からさっきまで読んでいた本を取り上げた。


「うっわー、むずかしい本読むんだねぇ。これ、何語?」


「日本語だ、バカもんっ、返せ。」


黒埼がつくえにのぼって本を頭上高くにあげているものだから僕では手が届かない。

しかし、委員長たるものつくえの上に登るわけにはない。


したでぴょんぴょんやっている僕を見下ろして黒埼はおかしそうに笑った。