『ほら、陽菜。折角の初めての旅行なんだから、笑顔笑顔。』


浩輔に手を引かれてやってきたのは遊園地に隣接するホテル。


『だって、折角傍にいられるはずだったのに・・・今度は車で3時間の距離だよ?』


前々から二人で予定していた旅行、本当は合格してマックスハイテンションで行く予定だったのに。
K県は全滅で、隣のM県に合格出来たから春からはまた遠距離になってしまった。


『それにしても、俺らの親凄くない?』


暗い話題を変えるように話し出した浩輔。


『ん?確かに「浩ちゃんと一緒なら安心ね」で旅行OKだしね。』


『俺も「陽菜ちゃんをきちんと守りなさいよ!」だからね。』


二人で手を繋いで予約していたホテルに到着、明日は一日遊園地で遊ぶ予定。


『早速、やるか。』


『え?もう早くない?』


『俺、結構評判なんだって上手いって。』


そう、私は高校を卒業したので春休みに入った今・・・18年間お世話になった黒髪を染めるのです。


『・・・似合うかな?』


不安げに言えば、浩輔はとびきりの笑顔で


『俺、陽菜の茶髪みたかったんだ。絶対可愛い。』


出来上がりを見れば、浩輔は可愛いと何度も言って抱きしめてくれた。