抱いて、抱かれて、堕ちて、溺れる。





【暁】




足取りが重い…。





何だか、悪い予感がする。



気のせいだろうか。




私は、不安を隠せないまま会社へと向かった。









予感は的中していた。







『実夏、おはよ。』






『あんた、最低だね!』





急に…何?




訳がわからず、実夏に聞いた。





『えっ?な、何…?急に…。』






『暁さ、私が純くんの事好きなの知ってるくせに、彼と付き合ってるんでしょ!?あんな素敵な旦那さんがいるのにさ!どんだけ欲張りなの!?』





実夏の言葉は更に続いた。




『昨日だって、あの資料室で2人で何してたの!?2人が出てくる所を見た人がいるんだよ!旦那さん、ロビーでずっと待ってたんだよ!?暁、何やってるのさ!あんた、結婚してるんだよ!?純くんが暁に気があるのは気づいていた…。だけど、暁は旦那さん一筋だって信じてたから…。だから、いつか純くんが暁を諦めてくれるって…それまで待とうって…。』





実夏は…泣いていた。




私は、いろんな人を傷つけた…。






頭が痛い…。






『…ごめんね…。』






私は、実夏にそう言い残し、会社を後にした。