あいつが私の前に来た。



『おはようございます。お名前は?』

私は高ぶる気持ちを抑え、彼に笑顔を見せた。



『純…。あっ、相馬 純です。』


『相馬さんですね。こちら、本日の式の流れと会社の規定集です。』



不自然な会話だった。




まだ、私の胸は痛い。



というより、ますます鼓動が早くなっている。




私、どうしちゃったんだろう…。





『ちょっと、今の子カッコよくない!?あたし、狙っちゃおうかなぁ!』




実夏の言葉すら聞こえない。



それほどに、私の心臓はうるさい。