「――大丈夫?」 僕は、他に答えが見つからず、形通りの言葉を発した。 水夫が、コクンと頷き、涙をふく。 「えへへ… ちょっと、取り乱しちゃった」 ぎこちなく笑う水夫を見て、僕は浅はかにも安心した。 30日しか生きていなくても、水夫は30歳。 気持ちも記憶もしっかり大人だったのに――――