彼女がもし、あの『過去』という失礼極まりない呼び名を聞いたとしても、不愉快にならないようにしたいと思ったのだ。


結局、画数は調べなかった。

彼女の運命がほぼ分かってしまった今、それが必要に感じなかった。




「意味は?」
しばらくたって、彼女は問うた。


「『水夫』と同じだよ」


すると、彼女はにっこり笑って「気に入ったわ」と一言。


それで決まった。



彼女の名前は、水夫(かこ)。