「お前、忘れたのか?
研究者の奴らが、時流に取り残され、じきに過去の人になる。つって、"過去"って呼んでんだろ。」
「……あぁ、思い出したよ。名無しの奴だろ?」
「そう。…しっかし、どうするのかねぇ、組織も。
きっと、そいつは大した役に立たないだろうに。」


僕に聞こえたのはここまでだった。

いや、彼らの言葉は、僕の怒りを燃え上がらせる為には充分すぎる程だった。




――あいつらは悪くない。
―あいつらは頭が悪いだけだ。


必死で、暴れだしたい気持ちを収める。






僕は1つ決心した。

何があっても、僕は少女を守り抜く。






防弾ガラスになっている、すりガラスの窓が、赤く夕日に染まっていた。