触れた瞬間、指先を絡めて勢いに任せ腕をひき、離れることのないようにしっかりと抱きしめる。 彼女は、姫は驚いた顔をするだろうか。 確かに腕の中にある温もりをかき抱き、意識を底に落とした。 むかしむかし、あるところに。 人間の王子に恋をした、人魚の王の末娘の姫がおりました。 嵐の日、海に落ちた王子を助け、姫は岩影から浜にあげた王子を伺います。 しかし目覚めた王子が初めに見たのは姫ではなく、たまたま通りかかったひとりの娘だったのです――――……