「梨乃?」


大学の食堂の片隅で盛り上がってる丸い輪。

その中のあたしに少し遠くから呼ぶ優しい声。




「まあ、梨乃に限って浮気はないよなあ」


あたしと、あたしを呼ぶ声の主を交互に眺めながら、友達は言う。



「じゃあ、お先に」


友達にあいさつして、声の主のところまで小走りで行く。



「帰ろっか」

「うん」