雨のち晴れ



「由奈…。由奈?」

あたしの耳には由奈の声にしか聞こえないよ…!

由奈、いるの?

「…雨、由奈はもういないでしょ?」

一人のクラスメートが話しかけてくる。

不思議そうに…

「由奈はここにいる…」

由奈はいるよ。なんで、気づかないの?

あんたたち、由奈のこと好きだったでしょ?

あたしを憎むくらい好きだったでしょ?

「由奈はいねーよ。お前のせいで。由奈はお前のせいで死んだだろ!」

男子が怒鳴り出す。

…ううん、死んでない。

由奈は

「由奈は…死んでない!」

そうだよ。死んでないんだよ。死んでなんかいないんだ。


「時雨、みんなには、ウチが見えないの?ウチには見えるのに、」

由奈がこう言ってるんだ。

だから、いるに決まってるんだ。

「時雨、しっかりしろ。」