何事もなかったかのように席に着く。
それは当たり前で、あたしのいつも通りの日常で。
人に何も言われないのも、人と関わらないのも、全て全て、"あたし"。
その証拠。
あたしがあたしである理由。
君が君である理由と一緒。
今日も何も変わらない。
「時雨。」
耳に付く甲高い声。
それでも心地いい声。
あれ、このクラスにあたしを時雨なんて呼ぶ人いたっけ?
ううん、いないよ。
きっと幻聴……。
「時雨、ねぇ時雨。忘れちゃったの?ウチだよ?ウチ!」
あたしのことを時雨ってよんで、自分のことをウチっていうのは一人しか知らない。
ねぇ。
この声は、由奈ですか?
由奈ですか?この声は。


