「時雨、今日は俺と帰る予定だろ?」

平助が助け舟を出してくれる。

「そうだね。平助。」

女子の視線が怖いけど仕方が無い。

雪歩先輩は、何をするかわからない。

「そうなんだぁ…。ゆき超ショック。」

あぁ、もう、うるさいうるさいうるさい!

目線がうるさい。視線がうるさい。

あたしが誰といようとあたしの勝手。

何がショックなのよ…。

絶対何か狙ってるんでしょ。

「風歌、早く教室戻りな。」

平助が風歌に、にこりと笑いかける。

「う、うん。しぃちゃん、平助先輩また部活で。」

風歌は、助かったとでも言うように急いでその場を離れた。


あたしは、雪歩先輩に向きなおる。

「もういいですか?」

雪歩先輩は、頷くとさっさと戻って行った。

ほっと一息つく。

平助がそばであたしの頭を撫でる。

「頑張ったな。」

何も頑張ってない。

ただ…断った。

それだけ。