「!」
風歌は、固まってしまった。
その場から動けないらしい。
「あら、風歌ちゃん。いたんだ。ゆきの視界に入らないでくれる?本当むかつく。」
なんだかんだ言って、学年では嫌われてないらしい風歌が、この学年のフロアに来ることはほぼないし、雪歩先輩が来ることもほぼない。
そんな時に二人の来るタイミングが重なるとは…なんとも言えない。
重なるとしても、時間帯がかなりずれるはずなのに。
ただ、バスケ部の絆が強くなって以来、雪歩先輩は、あたしにベタベタひっつくようになって、風歌に強い態度を取るようになった。
「時雨、今日こそ一緒に帰ろっ♡」
あたしはその誘いをまたかと思いつつも表情には出さずに断る。
「すみません。部活があるので。」
「いつもそれだね。たまには休んじゃいなよ。」
クラスメートもこの会話は最近毎日なので呆れた顔をしている。


