「うるさい…」
俺たちは、パッと風歌ちゃんを見る。
「うるさいうるさいうるさい!」
あんたたちに何がわかるの?と叫ぶ風歌ちゃんを抑えつつ、俺は風歌ちゃんを抱きしめた。
「君の気持ちはわかるよ。時雨が、お姉ちゃんが、なんでも出来ちゃうから比べられてきたんだろう?だから、悔しいんだろ?悲しいんだろ?自分がこんなことをしないと時雨に勝てないことだって。自分が引き起こしたことがこんなにも大きくなるなんて。」
黙ってそれを聞いていた風歌ちゃんの目から涙が溢れてきているんだと思う。
たくさんの涙が風歌ちゃんの方を伝って、俺の肩に落ちているんだと思う。
「倫。先輩。」
「うん?」
普段なら名前で呼ばれることなんで、嫌だ。
でも、風歌ちゃん、君だから何と無くそう呼ばれても嫌な気はしないよ。
「ごめんなさい。私、こんなことでもしないと人の気持ちが惹きつけられなくて…だから、」
「仲間、が欲しかったんだよね。ならさ、今から男バスのメンバーと、仲間になろうよ。俺も疾風も、時雨も、みんな歓迎するから。」
時雨と疾風は遠くから俺たちを見ているようだ。
「仲間、になってくれるんですか?」
「その代わりちゃんと本当のことを話してね?」
「はい!」
やっと風歌ちゃんの本当の笑顔が見えた。


