雨のち晴れ


「お姉ちゃん、ありがとーね!」

次の休み時間に風歌がきた。

辞書を渡してきたのはいいが、


傷だらけ。


絶対わざとだ。


「お姉ちゃん、ごめんね。ここに来るまでに、落としちゃって……。」

「大丈夫よ。使えれば。」
「お姉ちゃん、優しいー!」


そんなこと思ってないくせに。


どう見ても、落としたような傷じゃないことは見てすぐにわかる。

「お姉ちゃん、帰り一緒に帰ろ⁇」

「ごめん。今日は部活。」

どうせ、おごらされるのがオチなんだから。


金欠ー。おねーちゃん、あの、バッグ買ってーとかね。

知ってるんだから。

お母さんにもお父さんにも、直ぐにたかってることくらい、


「そっか。残念。」

シュンとする、風歌に、クラスの女子が、近寄って行く。

「風歌ちゃん、あたしと帰らない?」

「え、風歌に付き合わせちゃっていいんですか?先輩、美人だから彼氏さんとかいそうですし……。」

「大丈夫よ。」


「じゃぁ、よろしくです♪」

風歌は、ニヤリと笑った、


誰にもわからないように……。。

「時雨のクラスメート扱いやすいw」

こっそりあたしに耳打ちした。

危険な笑みだった。

「じゃぁ、帰り際にまたきますねっ!」

風歌は、そう言って、教室を出て行った。