「赤羽、また来たのかよ!」
レギュラーでもない部員が叫ぶ。
俺に対して罵倒する。
風歌を囲って、風歌ちゃんかわいいねー、なんて言ってる。
なのに、俺が来たらこのざまか。
その能力をバスケに生かして欲しい。
俺が来たことに気づくなら、
バスケでも後ろから敵が来たりしたらすぐわかるはずだ。
「こ、こんにちは。」
平助に連れられて、時雨が来た。
俺は、ここから、既成事実を作る。
何もやってないのに言われるくらいなら、何かやって言われる方がましだ。
疾風も知っているし、平助も知っている。
「仁科姉、ちょっと来い。」
俺は部室へ呼び出す。
きっと風歌ちゃんが少し経ったらついてくる。
「え、ぁ、は、はぃ…。」
今朝のことがあるのか、少しどもってる。
「大丈夫なんもしねーから。」
小さな声で時雨に耳打ち。
時雨には一応気づかれちゃいけないから。
「お姉ちゃんに何する気ですか?赤羽先輩。」
「なんもしねーよ。」
「なら、風歌も行きます。いいですよね。」
…計画を邪魔するってか。
「仁科姉、妹と、ドリンク作っとけ。疾風来るまで、俺は洗濯してるから。」
キツイ作業はやらせたくない。
洗濯は、なんだかんだ大変だから。
「はい。」
風歌が、返事をして、時雨の手をつかむ、
一瞬時雨の顔がゆがんだ。
「お姉、ちゃん?」
「なんでもない。」


