「おはよ。しぃ。」
「疾風、おはよう。迎えありがとう。」
学校にしぃと向かう。
歩いて15分ほどの長いような短いような、そんな距離。
ただ、歩いていく。
お互い一言も話さない。
俺は止まって、少し遅く歩く時雨を待って、時雨の手をつかむ。
つまり、手を繋いでいる。
いつも通り、抱きしめたい。
いつの間にかするりと、手が抜けるんじゃないかって感じる。
俺の手の中から、しぃがいなくなるんじゃないかって。
「しぃ、」
なんだか、元気がないように見える。
まぁ…当たり前といえば当たり前か。
でも、やっぱりしぃが、元気がないと、心配になる。
あんなによく笑うやつだったのに…。


