何もわからないよ。
「疾風、時雨の手当てお願いしていい?私、手当下手くそだから。」
そう言って救急箱を疾風に押し付けたのは、もちろん風歌。
いつもなのだ。
あたしを使っていじめをしたい時、こんな小さな、気遣いを見せるんだ。
それが、一番の恐怖。
あたしが、風歌に対する恐怖の対象。
「どこ蹴った。」
「お腹と、背中と足と腕。胸は何もしてないはず。」
嘘を着くなと言いたい。
鳩尾を蹴った時、風歌が、やばいって顔をしたのをあたしはかすかに見た。
「自分でやる。」
「俺に手当させろ。」
疾風はそう言って、包帯や、軟膏を取り出した。
痛み以外感じない。何も、何も。軟膏の匂いが鼻をくすぐる。
背中やお腹、足に軟膏を塗って行く。
少しくすぐったい気もするけどそれ以上に疾風の手が冷たい。
「疾風…あんまり見ないで?」
たとえ、幼馴染とはいえ一応異性。
一応、胸とかは蹴られてないから胸までは見られないだろうけど。


