立ち上がったあたしの手を疾風は引っ張った。
「やめろ。いま、倫は、時雨を恨んでる。わけのわからないまま陥れられたわけだから当たり前といえば当たり前だけどな。」
「あたしが悪くないことを証明したいの。あたしは、あたしは倫先輩のこと尊敬してる。あたしは、アキラのことがあったとき、支えられなかった。だからこそ、今は、支えたいの。」
あたしはそのまま部屋を駆け出した。
母親の怒る声が聞こえる。
「ちょっと、時雨?どこ行くつもり?」
玄関を出ると、風歌が立っていた。
「倫先輩の、家。」
「は?あんた、倫先輩に、襲われたことになってんだからそれを演じてよね。私の計画、狂わせないでくれる?狂わせるなら、もっとひどいことするわよ?」
何度も聞いたこの言葉。
あたしは、この言葉にいつも怯えてしまう。それは今も。
やっぱり、この言葉は嫌いだ。
「行かないなら私、時雨と、疾風には何もしない。学校の連中にも何もさせない。」
「…わかった。絶対、疾風には何もしないでよ?」
そして、屈してしまうあたしが大嫌い。
「もちろん。時雨はいい子だよね。いい子すぎるのが玉にきずだけど…!」
あたしはおとなしく部屋に戻る。
風歌の指示にしたがうしかない。
「そうそう、私、バスケ部のマネージャーするから。」
あたしの場所は風歌に奪われる運命であることは変わらなかったみたいだ。


