「風歌の歌声が聞こえる…」
耳を澄ます。
何も聞こえない。ドリブルの音だけだ。
他には何も聞こえない。
「しぃ!」
「疾風ぇ…!」
時雨は疾風にだきつく。
「風歌の歌声が聞こえてるな。」
外に出て耳を澄ます。
聞こえた。聞こえる。
「♪どんなに晴れだって
いつかは雨が降るの
君も聞こえるでしょ
この雨の声雨の歌
遠くまで遠くまで響くように♪」
「…風歌ちゃん…?」
その歌は、本当に気持ち良さそうに聞こえた。
俺には、綺麗な歌声にしか聞こえない。
「どんなに晴れだっていつかは雨が降るの、つまり、どんなにその時が楽しくても、いつかはその時に別れを告げなきゃいけない。」
疾風が、そう言った。
ぼそりと。でも、俺たちに聞こえるように。
「君も聞こえるでしょはそのままの意味。」
平助が、悲しそうに言った。
「この雨の声、雨の歌遠くまで遠くまで響くように。泣き叫ぶ声、殴る音、大きく大きく響くように。つまり、いじめを開始するという合図です。」
いじめを開始、する?


