「倫先輩、」
不安そうに俺のそばにやってきた、時雨。
「どうした?」
「今日は仕事ができなかったんでは、と思って…。」
「そんなことねーよ。」
俺は時雨の頭を撫でる。
俺は、自分の仕事ばっかで、時雨に風歌ちゃんのこと、押し付けてたから、少し後悔してる。
「ならよかったです。」
時雨はちょっとだけ笑顔になった。
「倫先輩、」
「ん?」
「きっと、バスケ部荒れます。」
時雨の勘はよく当たる。
いいことも悪いことも。
中学の時も、学校が荒れると言って本当に荒れた。
アキラがいなくなった時も、散歩に行ってたんじゃないかとくらいにしか考えなかった俺に、アキラが危ないって教えてくれたのは紛れもない時雨。
だから、何か起きるなら、俺に起きてくれ。
時雨も疾風も、もう十分傷ついたんだ。


