「なんかさー、雨の妹がこの高校くるんだって。」
あたしはなぜか、雨と呼ばれる。
クラスメートで
時雨、なんて呼ぶ人は、由奈だけ。
「まぁ、由奈を、追い詰めた雨の妹だもん。どーせ、最悪なやつに決まってるって。」
あたしじゃない。
由奈を追い詰めたのは、その妹だ。
あたしじゃない。
「おねーちゃーん?」
いい姉妹に見えるように。
風歌は、あたしのことを外ではお姉ちゃんと呼ぶ
。
家で嫌味をいう時も。
「風歌…。」
「ぁ、仁科時雨の妹の風歌です‼姉がいつもお世話になってます♪」
宣伝用スマイル。
先生には聞かないけど、必ず、生徒になら通用する。
「かわいいー♡マジで雨の妹?」
「時雨お姉ちゃんは、風歌の、正真正銘のおねえちゃんですよ?」
人の前では、一人称が、風歌。
自分の名前。
あたしは、そんな裏表のある風歌が嫌いだ。
「お姉ちゃん、風歌、辞書忘れちゃったー。かしてー?」


