しぃ
と呼ぼうとしてやめた。
しぃが、風歌を殴っていた。
「な!ふざけてんのはそっちでしょ⁈あんたごときが、私の頬を殴っていいと思ってんの⁈」
風歌の声に時雨の声が続いた。
「あんたにとったら、自分以外は全て物かもしれない。でも、あたしも、倫先輩たちも、今を必死に生きているんだよ。ただの、ものじゃないんだよ。」
倫先輩たち…倫のことか。
時雨は倫の名前を一番に出すくらい、倫のことが好きなのか……。
「バカね。なに、正義の味方?そんなの、ウケないから。」
風歌らしい一言。
俺はそのセリフ嫌いだけどな。
「疾風以外の奴らって言ってるでしょ?だから、時雨は一人にならないじゃない。疾風も私のものにしたって良いのよ。」
「疾風をもの扱いしないでっ!疾風も倫先輩も平助も、ものなんかじゃないの!あたしたち全員、風歌を、飾る道具じゃないの!」
時雨らしい一言だった。


