雨のち晴れ


「疾風、どーしたの。」

「倫先輩の家に行くそうよ。」

「倫先輩ってかっこいいのに、勿体無い先輩のこと?」

…もったいない…?

倫先輩は、いいところだらけなのに。

努力とかしてないって、自分では言ってるけど、

本当は部活一の、努力家で。

そんな先輩のどこがもったいないんだ。

「疾風と時雨の味方してる時点で人間として終わってるね。」

あたしは、風歌を無視する。

「お母さん、あたし、ご飯いらない。明日の弁当もいらないから。」

早起きして作ればいい。

今は、風歌と同じものがすべて嫌。

だから、この制服だって脱いでしまいたい。

こんな、家から逃げ出したい……。

そんな時は必ず、freshの曲を聞くんだ。

それだけで、気持ちが落ち着くから。

柊花の、YELL SONGを、聞くんだ…。

大好きな曲。

「時雨、食べないと体もたないよ?マネージャーなんでしょ。」

風歌は、いかにも心配してますって感じでいうけど、全く、そんな感じには見えない。

まぁ、素人だもんね。当たり前か。