あたしの家の前にきた。

いつもなら、ついたと同時にバイバイ。

でも、今日は、違う。抱きしめたまま、はなしてくれない。

「疾風、はなして?」

「無理。家、帰りたくねぇ…。」

…おかしい。

「疾風、まさか、家、誰もいないの?」

疾風は、一度誘拐されていらい、

一人がダメなんだ。

一人もダメだし、暗いところもダメ。

「一年前から、親父は愛人のとこ。母親らしき女は朝仕事、昼仕事、夜中はホスト。兄貴は、彼女のとこ。ってわけ。ずっと我慢してたけど、もう、限界…。」

久しぶりに、あたしから抱きしめたかもしれない。


弱々しい、疾風はもう見たくない。

「あたしの家、くる?」

「時雨、何、言っちゃってんの?」

「風歌……。」

「風歌、疾風なんて放っておいて大丈夫だと思うから。家に入れないから!時雨も疾風の家に行けばいいんじゃない⁉嫌われ者同士、仲良くしたら⁈」