「本田は、あいつらとわかり合おうと頑張った。部活を言い訳にして、行事や委員会や掃除を疎かにしなかった。それだけだ。」

でも、それなら、疾風もだ。

俺は、部活を言い訳にサボっていたけど。

「それなら疾風も‼平助だってそうじゃん⁈なのに、なんでっ、」

「先輩はわからない。でも、俺は、あいつらを見下してた。」

平助が…ひとを見下す…?

「中学の時から、ひとを見下す癖があるんだ。自分ができることは他人もできて当たり前って感じの。」

「それなら、あたしの方がっ、」

「気を悪くするなよ?お前はとっくに、クラス中に嫌われてる。」

時雨が学校中から嫌われてるのはみんな知ってる。
嫌ってないのは、バスケ部と、由奈くらいだった。

「ご、ごもっともです。」

「止める方法、ないのか?」
俺は平助に話をそらすように目配せしながら聞く。

「あー、あるにはあるっすよ?」

「それは、」

俺と時雨は身を乗り出して聞く。

「ターゲットを他のやつにすること。」

途端に、俺も時雨も同時に脱力する。

ターゲットを他に移す=誰かがいじめられる、

「ってことで無理。耐えるしかない。」

疾風が俺たちにかなしそうに言う。