「時雨、携帯なってるぞ。」

「へ?」

名前を確認する。

「ごめん、トーマ。あと任せるね。」

「ん、あ、あぁ。」

走って、校舎裏へと急ぐ。

「疾風!」


後姿でもわかる。あたしの好きな人。

くるっと後ろを向いたあたしの愛しい人に、そのまま抱き着く。

「好き。疾風、好きだよ。」

「…先に言うなよ。俺も、しぃが好きだ。」

ぎゅっと抱きしめあったあたしたちにただ風が静かに吹いた。

end