雨のち晴れ


「本日はわたしたち第72期卒業生のためにこのような心のこもった式典を開いていただき誠にありがとうございます。またご多忙の中をご出席くださいました、ご来賓の皆様、校長先生をはじめ諸先生方、並びに関係者の皆様に、卒業生一同心から御礼申し上げます。」

透き通った凛とした声に、先ほどの自分を思い出して恥ずかしくなってしまう。

「そして、」

「?」

練習ではなかった言葉に在校生も卒業生も驚いて生徒会長を見つめる。

「仁科さん素敵な送辞をありがとうございました。思い返せばこの三年間、勉学だけでなく、部活動や友人との会話、生活すべてを通して様々なことを学びました。それはきっとここでなければ学べなかったこともたくさんあるでしょう。恥ずかしながら私は生徒会長という立場でありながら目を背けていたことがたくさんあります。卒業が近づくにつれ後悔は増すばかりでした。それでも、もうどうしようもありません。この先、私は二度と後悔しないように、立ち向かっていきたい。…それが皆さんに胸を張ってあなたたちの先輩だって伝える方法だと思うから。」

練習にない言葉がすらすらと出て、それに対して泣いている先輩もいて。

「私たちは、この勇泉高校の卒業生であることを誇りにそれぞれの分野で頑張っていきたいと思います。先生方。今日まで本当にありがとうございました。」

泣き声も聞こえるのに、生徒会長はぶれずに、さいごまで答辞を読み上げた。