「は、ははっ。風歌、やりますね。やっぱり、風歌に、悪知恵は勝てませんね。でも、」
一瞬で、時雨の目が変わった。
「許さない。風歌を一生、許さない。」
その目には、希望や、目標のような、明るい決意ではなく、
絶望や、復讐のような、暗い決意が滲み出ていた。
「時雨?」
「何で、風歌は、あたしの大切な人ばっかり奪うんですか⁈あたし、そんなに悪いことしました⁈疾風も、由奈も、何でっ、それに、アキラ……。」
アキラ…
「頼むから、アキラのことを出さないで欲しい…。」
「でもっ、アキラは、あたしにとってもっ」
「頼むから。」
そう言って、俺は黙った
。
アキラのことは掘り出さないで欲しい。
時雨が由奈のことを話して欲しくないのと同じだ。
俺にだって、触れられたくない過去があるんだ……。


