長い校長先生の話。
代表生徒が卒業証書をもらう。
そして、あたしの番だ。
「在校生、送辞。在校生代表仁科時雨。」
「はい。」
真っ直ぐに歩いて。嬉しいこと、喜ばしいことそんなこと分かってるのに、
悲しく感じるのはきっと、疾風や倫先輩、陣先輩に暁先輩との日々が楽しかったからだ。
「校舎に吹く風が少しずつ温もりを増したように感じられる今日この良き日に卒業を迎えられました先輩方、ご卒業おめでとうございます。初めて、先輩たちとであった日を思い返すとたくさんの懐かしい日々で胸がいっぱいになります。」
顔が見える。先輩たちの顔がはっきりと、
あたしはただ出来上がっている送辞を読み上げて、言いたいことは、、贈る言葉はって探してる、。
「自分の未熟さを知りました・・・・。」
突然黙ったあたしに、先輩たちもみんなも怪訝そうな顔をする。
「…あたし、この学校で先輩たちに会えてよかったです。送辞に書いた言葉じゃ、きっとあたしは心からおめでとうなんて言えません。」
だって、それはあたしの言葉じゃない。
「先輩たち、一人ひとり、不得意なこと、得意なこと、乗り越えたこと、きっとたくさんあるんだと思います。それをあたしたち在校生に背中で語ってくださった先輩。優しく教えて下さった先輩。時には厳しく注意してくれた先輩。そんな先輩たちとの出会いがきっとあたしたちを変えてくれた、成長させてくれたそう思ってます。」