「監督、なにか言葉を。」

「…三年全員残るから特に無いんだけど、まぁ一応。全員悔いが残らないように。精一杯やって負けたらそんときは俺の責任だから、思い切ってやってこい。」

はいっという返事が響き渡る。

あぁ、いいなぁ。あたしもあんなふうに激励させるいちにいたかったよ。バスケやってたかったよ。

胸張って、試合に出たかったよ。

「今日は解散。明日に備えてしっかり睡眠を取れ。」

疾風の言葉にみんないっせいにうごきだす。

いつもより少し早めに上がっていく。

「しぃ、帰るか?」

人数が少なくなっていくなか、疾風があたしに問う。

「ううん。ちょっと、シュートでもしていこうかなって、」

「1on1してくんね?」

「いいけど、軽くね?」

明日の試合に響いたら大変だ。

「おぅ。」

軽くなんて言ったのは誰だっけ。

そう、あたし自身だ。
でも、全然軽くなんてなくて。
やっぱり、バスケで負けたくないんだって、改めて思った。

「疲れたぁ…」
「軽くなんて言ったのは誰だっけ。」

あたしが自分自身に問いかけた問を代弁するかのようにハヤテが発してつい笑ってしまう。
「こんなに続けて1on1するの、久しぶりだね。」

合宿中はもちろんできなかった。そうでなくても、平助の相手もしてたし、倫先輩の相手もしてたから、体力が削られてた。

「一年もたってない筈なのに色んなことがありすぎて一年以上たったみたい。」