「ごめんね、時雨。」

お母さんが、こそっと耳打ちする。


別に大丈夫だよ、と返して、お母さんにそうめんを渡す。基本的にお昼ご飯だけは手伝ってくれた保護者に出すことになっている。

「あら、いいの?」

「うん。誰かとご飯する予定ないでないないでしょう?」

そうね、ないわ。と、簡単にあたしに返し、お母さんは、部員たちが手を合わせるのを見届けてからそうめんに箸を通した。

「こんなにたくさんいるのね。」

「うん。全員、あたしの大切な人たち。」

「素敵な仲間ばかりね。」

お母さんの目線の先には賑やかな食事風景が、写っていた。