「今剥いてるから!酢はそのした!」
指をさして示してふと、笑いがこみ上げてくるのを我慢する。
こんなふうに並んで立つこと考えたこともなかったな。
「遅いわねー。ほら、貸してみなさい。」
あたしから奪うようにとって素早く玉ネギを剥いて切っていく。
うんやっぱりはやい。
「しぃちゃん、ドリンクの粉きれそうだよ。」
遠慮がちに声をかけてきた風歌にあたしは、昼一で買いに行こうと、提案する。
確か、柔軟剤も少なくなっていた。今日ついでにいろいろと買い足しておこう。
「うん。」
風歌の頷きにあたしは安心する。
「それよりさ、マリネなら、夜の方がいいんじゃない?」
お母さんと二人してぽかんと口を開ける。
「あーーーーーっ!!」
二人して声もそろう。
「え、どうしよう、味、なじまないじゃん、冷奴と、何にしよう!?」
「なら、焼き魚で大根おろしでもつけといたら?さっぱりするし。」
「そんなに焼けない!!」
風歌の案には、それもいいなとは思いつつも、もう時間がない。
「手抜き、するわよ。」
「うん。」
お母さんの言葉に頷いて、鍋を取り出す。
そして、あたしたちは無事に手抜きをして作り終えることができる、はず。


