「疾風、倫先輩、監督から、今日は早めに上がってミーティングだって。その時に夜食出すからね。」

時雨からの指示に頷いて、俺はまた本田と練習を始める。

「しぃちゃん、夜食できたの?」

「休憩中に作っておいたからね。部室にドリンク取りに行くから、ここ、よろしくね。」

時雨と風歌の会話が聞こえる。

「先輩、どうかしました?」

「わりぃ、ボーッとしてた。」

いくら見ても、いくら想っても、結局俺に見せてもらえるのはお前が疾風を好きでいる事実、それだけなんだろうな。

「先輩、部活中に恋愛感情持ち出すと、部長と同類になりますよ。」

クスッと、笑うように言った本田に焦りを覚える。

って、俺が時雨のこと好きなんて誰にも言ってないよな⁉︎

「っせー。やるぞ、続き!」

ボールは持ったまま、背中を目で追いかけてた。