雨のち晴れ


「ありがと、佐倉くん。」

「いえ、重いものを持つことくらいならいくらでも手伝いますよ。それに、俺たちが使うものなんですから。」

自分が使うものは自分で準備って、思ってるんだろうな。

でもね、いいんだよ、そんなこと思わなくて。

そうやって準備するのも、マネージャーの仕事。みんなに集中してもらえるようにサポートするのがあたしたちの仕事なんだから。

「じゃ、ランニング行ってきます!」

「うん、頑張ってね。」

また、部室に戻って、今度はタオルを準備する。

「時雨、風歌、ドリンクあるか?」

「ジャグにいれときました。今作っているのも作ったら持っていきます。」

「悪いな。」

監督の言葉に風歌が答えているのが聞こえる。

監督が部室に来るのは珍しい。

「先生、」

「先生じゃない。合宿中は監督と呼べ。」
「監督、はちみつレモンが冷蔵庫に入れてあるので休憩中に一年生に取りにこさせてください。さすがにドリンクとタオルと持ってるのでそれも持つのは辛いです。」

「わかった。伝えておく。」