「ま、行ってから疾風に確認しよ。ぁ、ジャージありがと。着替えるから、先に降りといて。」
うん!と頷いて風歌は部屋を出て行く。
着替えてる途中に階段を降りていく音が聞こえた。
伸ばしっぱなしの長い髪をポニーテールにして荷物を持って下へと降りていく。
「おはよ。」
こんな早い時間にお母さんが朝ごはんを作ってくれるなんて考えたこともなかった。
挨拶を交わすなんて考えたことなかった。
今までの日常が、新しい日常に変わっていく。
あたしの日常が、仁科家の日常に変わっていく。
「おはよう、時雨。」
「しぃちゃん、席ついて!」
「ん。」
風歌の隣の席に大人しく座る。
「はい、」
「いただきます。」
目の前に置かれた焼けたばかりのトーストにかぶりつく。
目がさめる。体が目覚めてく。
「時雨、風歌、コーンスープ飲む?」
「飲むー。」
「あたしも。」
了解、とお母さんは笑い、また、目の前に温かそうなコーンスープが置かれる。


