「時雨なんか、生まれてこなきゃよかったのにね。」
妹の、風歌が言う言葉が耳にこびりついてる。
「時雨、何でこんな簡単な問題解けないの?あら、お帰り。風歌。今日の模試どうだった?」
「んー、合格圏内とかよゆーよ。よゆー。どちらかというと、内申点の方が問題ー。お姉ちゃんと違って、私、先生へのゴマの擦り方知らないから。」
お母さんのそのあとの言葉覚えてる。
娘に対し使うような言葉じゃなかったから。
だって、
普通なら、内申点が低いのは、風歌の自業自得でしょ?
でも、お母さんは
「時雨なんかお姉ちゃんだと思わなくていいのよ。どうせ、その辺の下衆な女と同じように、媚を売ったのよ。」
そう。
努力しても努力しても。
あたしの努力はお母さんには伝わらなかった。


