次の日。
デートっぽくないような普段着をわざと選び、俺は時雨と待ち合わせの場所に向かう。
「倫先輩。」
いつもの時雨で、なんとなく安心する。
「じゃ、行こうか。」
「はい。」
きっと周りにはデートにしか見えないんだろう。
その証拠の俺たちを見てひそひそ言ってる奴がたくさんいる。
「アキラのさ、最期、覚えてるか。」
俺は時雨に話しかけた。
「えぇ。」
「俺、いまだに聞けないんだ。あいつの最期も、遺書になんて書いてあったのかも。葬儀にも出れなかったし、墓も今日が初めてだ。」
時雨が黙ってしまう。
俺は一人喋っていた。
墓に着くまでずっと。
ずっと一人で何をしゃべっているのかわからないまま、時雨に向けてなのか自分に向けてなのかもわからないまま、ただ一人喋っていた。


