「おぅ!」

いける。勝てる。

これなら、このまま…

すっと、風が吹いたかのように俺の横をボールが通った。

「…な…!」

早い…

「戻れ!」

伊藤の声に全員走り出すが、陣が一人いるだけで、相手は三人いる。

「…まだ隠してたのかよ…」

背の高さを生かしたパス回しだけが策略なわけはないが、どれだけ隠してるんだ。

…それなら、それで、こっちも期待に応えねえとなぁ…

飛ぶな、体力が削られる?それなら、俺と、体力勝負でもしようじゃないか。

俺が…俺が全部のボールを奪い取ってやる。

それなら文句もないだろう。


俺は思いっきりとんだ。