雨のち晴れ


仮とはいえど、何かない限りは、大会当日まで同じメンバー。それが変わることはほぼない。

だいたいだれが選ばれるかなんてみんな予測しているだろう。

でも、それは誰も口には出さない。出せない。

「ポイントガード、伊藤暁6番。シューティングガード、姫島疾風。4番」

ここまでは想像通り。


「スモールフォワード、」

いつもトーマがやってるポジション。

「佐倉祐樹。10番。」

番狂わせだ。

この調子で行くと二年は…誰も出ないことになる。

「パワーフォワード、赤羽倫、7番。センター、平澤陣、5番。それから、白浪平助8番、本田斗真9番、倉橋淳之介、11番」

出ない…平助も…トーマも…。

出ない…?

「スタメン五人、それから、白浪、本田、倉橋、時雨、集まれ。」

平助とトーマは顔をしかめて唇をかみしめながら、近づく。当たり前だと思う。いきなり、スタメンから外されたんだもん…。

「倉橋、伊藤の動きをよく見ろ。来年はお前が、伊藤のポジションだ。白波、お前は姫島の動きをよく見ろ。お前にはポイントガードよりシューティングガードのほうが向いている。本田、お前、足ひねってるだろ。悪化させる前にちゃんと病院に行け。」

「…なぜ、ですか。」

あたしは声に出していた。

何で、スタメンじゃなくて三人に指示を出したの。

「なぜ、二人はスタメンから外れたんですか。なぜ倉橋君は…入部して間もないのに呼ばれたんですか。」

スタメンから外れて、動きをよく見ろって言われたって、正直、うまく見えない。客観的に見えるはずがない。

「倉橋は、全中優勝を果たした中学のPG。だが、伊藤ほど優れてはいない。だから、ベンチにした。白浪はSG向きだ。PGに必要な周りを見る能力は倉橋のほうがある。それに。白浪はスリーを外すことはほぼない。レイアップやフリースローは外すのにな。」

そう言えばそうだ。普通は逆なのに。なぜかスリーポイントだけはおかしいくらい自然に入る。

「本田はさっき言った通りだ。昨日見てておかしいと思ったからな。それに…本田は全体を見ろ。PFを特にな。」