雨のち晴れ


「ありがとうございます。」

「疾風にも、負ける気は無いから。」

すこし、少しだけ…違和感を感じた。


「はよ。早いな。」

「おっす。疾風。今日から俺も復帰。」

疾風は一瞬驚いて、嬉しそうに笑った。

「また頑張ろうな!倫!」

さっきまでとは、何か違う。

あぁ、そうか。倫先輩の目だ。

笑ってない。まったくと言ってもいいほど、疾風に向ける笑みは口だけの笑み。

「おはようございます。」

平助と、トーマが入ってくる。

「早いね。」

「おう!今日はスタメン発表だからな!」

続々とほかの部員もやってくる。

風歌も、眠そうに眼をこすりながらやってきた。あとは…監督を待つだけ。

待ってる間は、練習していた。ずっとひたすら、繰り返し。

「おはよう。遅くなって済まない。」

「おはようございます!」

大きな声が体育館中に響いて、疾風が、集合、と声をかけた。

「仮のスタメンを発表する。」