本当は、バスケができるのに、したいとは言わずにずっと、黙々とマネージャーをしてる倫先輩がすごく、羨ましい。
バスケがやりたくて仕方ないのに、できなくなって。
それでもバスケが好きだから、マネージャーとして支えて行きたいって思って。
でも、先輩は違う。出来るんだよ、バスケ。だから、やればいいのに…
「怪我は治ってるんだし、やりたいならやっていいんですよ?あたしがバスケができないのは先輩には関係ないんですから。」
それとも、と、あたしは続けた。
「アキラのことが原因ですか?」
アキラは、あたしの中学のときの唯一の親友で、アキラは、倫先輩の従兄妹だった。
「時雨には、関係ない…」
「確かに関係ないです。でも、本当は好きなのに嘘をついてバスケをしない先輩は嫌いです。」
「うるさいんだよっ!時雨は、俺のなに。ただの後輩だろ⁈…あぁ、好きだよ。バスケが。やりてーよっ!でもな、3年経ったのに…怖いんだよ。ガムシャラにやってたさ。去年までは。でも、気が抜けてもう、ユニフォームを着る自信はないんだよ。時間が経つ度、年が明ける度、アキラのことは過去のことになる。どんどん周りはアキラのことを忘れて行くんだよ。俺も、バスケに集中したらきっと、アキラのことを忘れると思う。でも…俺が忘れたら誰が覚えてるんだよ!アキラのこと!」
「覚えてます。あたしも、みんなも。」
アキラはあたしの心の中に、いる。


