「は、疾風さん…。」

「なんですか?」

帰り道。親父のことは看護師に任せて俺達は帰っているときだった。

「あの、また会いに来ます…。」

「はい、ぜひ会ってやってください。親父も喜びますから。」

「…私も嬉しいです。私もずっと、探してたんですから。」

にこっと笑って、八瀬さんはお袋のもとへ走って行った。

「今日は突然すみませんでした。いきなり妹だと現れてご迷惑ではありませんでしたか?」

「いいえ。主人からずっと聞いてたもの。…。主人が退院したらごちそうを作ろうと思ってるの。お仕事もあるだろうけど、来ていただけないかしら?」

まるで、話をそらすように。まるで普通の昔から知ってる親戚みたいにお袋は八瀬さんに笑顔を向けた。

「はい!」

親父が退院するまで、あと数日。


全国大会までも…。あと二か月…。