雨のち晴れ



「…今まで会おうともしてなかったくせに……今更、なんなんですかっ…」

ついには、涙声になる。

「…ごめん。でも、…ずっと探してたんだ。」

叔父さんは唇を噛み締めて言う。

「…起きろよ、兄貴。愛理、見つかったぞ。会いたかったんだろ?」

ついに、叔父さんは、親父に話しかけた。
親父はそれても起きない。

「親父…」

八瀬さんが、親父の手を握った。

「ずっと、会いたかった。本当のお兄さんに…、本当の家族に…。ずっと、ずっと、会いたかった!」

きっと、叔父さんの気持ちが届いたんだ。

それは、八瀬さんを通して親父にもきっと届く。

「…うご、いた?」

かすかに、ピクリと、指が動いて、目があいて…かすかに声を出した。

「恭介…?……愛、理?」

「そうだよ、兄貴、愛理が、見つかったんだ。疾風のおかげだ。」

「疾風の、おかげ…。」

親父の小さな声が、俺たちにも聞こえてくる。

「あ、りがとう。」

なんだか、親父が親父じゃないみたいだ。

そして、なぜか、しぃが、ぁ、と声を上げて、俺に耳打ちをする。

「げ。」

やばい、起きたんだから、ナースコールするべきだよな。

俺は親父に近づいてってナースコールを押す。

すぐに看護師も来るだろう。

「愛理…」

「愛理だよ…浩介お兄ちゃん…。」

八瀬さんは少し照れてるようにも見える。