雨のち晴れ


「ここです。」

「姫島、浩介…?」

「俺の親父です。そこにたってるのは親父の弟。」

そしてきっと、あなたの本当の兄たち、とは俺は告げなかった。

告げてはいけない気がした。

「…あの、えっと…?」

「…八瀬さんですか?」

叔父さんは丁寧口調で聞いた。

「え、えぇ。そうですが…」

「俺は姫島恭介。ここで寝てるのは兄の姫島浩介です。一つお聞きしたいことがあります。よろしいでしょうか?」

「?ええ。」

すごく不思議そうな顔をしている八瀬さんを俺たち全員で見守る。

「あなたは養子ですか?それから、あなたが15のときにご両親は事故で亡くなりましたか?」

八瀬さんの顔が一気に変わった。

「…えぇ。本当の家族の顔は見たことありませんが….!」

八瀬さんが話している間に叔父さんが、八瀬さんを抱きしめた。ギュっと強く。

「な、何をなさるんですか!」

「会いたかった。愛理。」

「...え?」

八瀬さんは叔父さんにまだ名字しか名乗っていない。なのに、叔父さんが名前で呼んだことを不思議に思ったのだろう。

「なぜ、私の名前を…?」