若干、俺も呆れる。
「ジュンくん、行こう。疾風にぃ、5分は起きないから。移動には時間がかかるし。」
風歌の言葉に倉橋は物足りなさそうな顔をしながら黙って頷いた。
「部活、来ていい?」
俺は、倉橋のその言葉に頷いた。どうせ疾風は今日はいない。
「…赤羽さん、僕はあなたのバスケも好きだ。」
いきなりそれだけ言って、倉橋は去って行った。
俺のバスケ、そんなもの…
中学時代で消えたのに。
俺はあいつらが片付けずに放っていったボールを手に持ち昔みたいに好きなように打つ。
フォームレスシュート。型にはまらないバスケ。俺の、俺だけのやり方。
「…やりてぇな。バスケ。」
小さくつぶやくとほぼ同時に疾風の寝返りが目に入った。
「…片付けねぇとな。」
いつもなら、疾風は、片付けてから寝るのに、今日はそんな暇はなかったらしい。
まぁ、片付けくらい俺にだってできるし、まぁいいか。


