多分、いや、完全に時雨は尾行する気だな…。

なんとなく、時雨は昔から疾風に対して過保護というより変態じみてると思う。

「陣にも話してはあるから。てか、たまにはオフを…」

「部長自らサボりまくってるのにさらにサボるってか?どうなってんだその根性?ん?お前時雨を全国のてっぺん連れてくんだろ?」

「…さーせん。」

そういいながら、飯を食い終わったらしく、席を立つ。

昼休みに十分シュート練習するのが疾風の日課だ。三十分ある昼休みは、十分飯、十分シュート練習、五分ずつ昼寝、移動に使う。かなり、時間きっちりに決められている。

どうしてそんなにきっちりなのか脳の中を調べたくなるくらい、この昼休みの日課だけはきっちりだ。

もちろん、俺もそれについて行く。

「…先客か?」
ボールの音が、体育館に近づくと聞こえてくる。

「みたいだな。」

扉を開けると、顔も見たことないような奴がいた。

「ん?」

「お前、誰。」

久しぶりに出したかもしれない。こんなに低い声。

「ちょ、怖いって。赤羽さん。」

「なんで俺のこと…」

こんなやつ俺は知らない。

「そこつったってる、姫島さん、バスケしよーよ。」

疾風のことも知ってる…⁈

俺の記憶を探ってもこんなやつ知らない。
記憶力は悪くはないと思う。

それでも、俺はこいつのことはわからない。

「それより、なんで俺と倫のことを知っている。」

俺が気になっていることを疾風が、代弁する。

「ん?それは、秘密。でも、一つ言っておけば、僕にわからないことなんてないよ。」