「なんか嬉しそうだな。疾風?」

クラスでおとなしく昼飯を取りながら、俺は疾風に聞く。

時雨にくっついてる時並みに浮かれてる。

まぁ、多分家族のことだろうなとは簡単に想像がつく。

嫌いだとか言ってたけど、本当は好きなんだろうなというのがわかる。

俺なんかは高校生になると同時に家から出されたからな。

「聞いてくれよ、倫!」

始まった。

「旭が帰って来たんだけどな、仲直りできたんだ!」

「は⁈お前ら仲悪かったろ?」

「そうなんだけどな、親父のためにって、伊豆蔵のねーさんのこと、調べてくれたんだよ。」

伊豆蔵友穂のことか…。

それにしても、旭さんと仲直りか。いいことなんだろうけど、ちょっと信じられない。

「それはいいけど、お前、もうすぐ東海大会ってことおぼえてるか?」

「当たり前だろっ。」

「全国いけるからって浮かれてんなよ?」

県大会上位2チームが、全国大会へ、上位3チームが、東海大会への切符を手にする。俺たちは上位2チームにはいったから、全国に行ける。

「わかってる。目の前の試合に本気になれない奴に、全国で勝てるわけがない。」

これが、疾風と俺がいつも行ってること。

俺たちの中で、これは決まり、なんだ。