「旭、何しに来たの…。」
「旭は、俺の頼みで伊豆蔵雪歩の姉、友穂を調べてたんだ。」
伊豆蔵、の姉?
あぁ、あの、悪人。
「…あいつ、親父に八瀬愛理となのって近づいてる。」
「なんでわかるんだよ。」
旭が、どうやったらそれを知れる。
「俺、今友穂と付き合ってんの。あまりにもくどいから。」
旭がいつの間にか扉を空けている。
旭は兄貴以上の遊び人で、兄貴以上にモテる。
らしい。兄貴もなかなかモテると思うんだけどな。
「あいつ、俺に『今ね、クソ生意気な後輩の幼馴染くんの家を壊そうとしているの♡偽名も使ってるんだけどね、みんな騙されちゃってすっごく面白いんだぁ♡』なんて、酔っ払いながら暴露してくれたしな。」
「…なんで、兄貴は旭に頼んだんだよ。関係ないだろ?」
俺は旭が大嫌いだ。
「お前が旭のこと嫌ってることは知ってる。だけど、旭は家族だろ?確かに本当はいとこだけど、旭はこの家に来た日から姫島旭だ。」
そんなことわかってる。でも、俺はずっと旭にバカにされながら生きて来た。
バスケも邪魔ばかりされたし、勉強ばっかりの根暗だと言われ、それだけならまだしも、教科書は破られ、殴られもしたし、蹴られもした。
風歌と、いつもつるんで、しぃを傷つけた。


